このメッセージをそのまま社名:Firm and Brain にしました。
私の周りには、誠実で、笑顔の絶えない、それでいて、社会への
貢献意識が強く、産業医学に秀でた産業医達が集まっています。彼らとともに多くの企業で産業医活動を展開できていることをこの上なく幸せに感じています。社員は企業の「生命」であり「家族」であり「宝」です。「生命」の息吹を活かせない企業もあれば、「宝」を磨くことを忘れてしまった社員もいます。息吹を失った企業に活路を示し、磨くことを忘れてしまった社員に活力を与えることが必要です。産業医学を活用して職場の課題を解きほぐし、産業保健を実践して働く人を再適応させていく、「本格派の産業医」がいま求められています。
Firm and Brain 代表
(株)東芝、日本IBM(株)に専属産業医として勤務。同時に、日本産業衛生学会理事、日本産業精神保健学会理事、日本橋医師会理事、東京都医師会産業保健委員、厚生労働省専門委員を担当。現在、大手監査法人統括産業医、大手通信社統括産業医等を嘱託。日本産業衛生学会奨励賞受賞、中央労働基準局長賞受賞。著作多数。
産業医ストラテジー(監修)バイオコミュニケーションズ | |
産業医・産業保健スタッフのための「特定健診・特定保健指導のQ&A」 |
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「健康診断ストラテジー」バイオコミュニケーションズ |
職場には「働く人の安全と健康」を脅かすさまざまな要素が存在しています。例えば、多くの製造現場には騒音があり暑熱環境があります。
また製造工程では、有機溶剤や化学物質が使われ、粉じんがまっているという職場もあります。職場では、これらの要因が原因となって働く人の健康に影響を与えないように対策をしなければなりません。また、腰痛を起こしそうなつらい作業姿勢があったり、残業がずっと続いて睡眠不足で悩んでいる人もいます。こういったことがなくても、職場の人間関係に悩んでいたり、過重なストレスに心が折れそうになっている人もいます。どの職場にも、大なり小なり健康を害する要因はあるものです。一方で、働く人の側にも基礎疾患(糖尿病、高血圧、脳心臓循環器疾患、持病等)をもっている人がいたり、何らかの障害があるという場合もあります。このような場合には、担当する業務と健康への影響負荷について医学的な評価が必要になります。
職場に存在する物理的化学的な有害要因対策への指示はもちろん、労働時間や作業態様といった人間工学的な問題に対しても、また人間独自がもつ心理的なストレス等に関する問題に対しても、医学の観点から解決策を提案できるのは産業医しかいないのです。「労働」と「健康」との良質な関係の維持をめざして、産業医は医学の専門家として職場の最前線にて活躍しなければなりません。
常時50人以上の労働者を使用する場合、事業者は産業医を選任して労働基準監督署に届け出なければなりません。このとき医師の側の資格としては、医師免許のあることと同時に産業医資格(労働衛生コンサルタント資格者、日本医師会認定産業医資格者等)を有していることが必要です。
さてここで問題は、有資格者であれば誰でも産業医が勤まるのか、という問題です。しかしこれを解決するのは簡単です。その答えはすでに御社にあるからです。御社がかかえている問題、それがそのまま回答です、つまり御社に最適な産業医とは、いま御社がかかえている職場問題を解決できる医師でなければならない、というのがその答えとなります。
単に産業医学や労働衛生に通じているだけでは産業医ではありません。知見や技能を用いて御社の職場を解決する(治療する)ことができる医師こそが産業医です。そのためには産業医には、働く人との会話、職場文化への理解、科学する姿勢、解決への行動、その後の管理力、等が必要となります。これらを総合的に企業に提供できる統括力が求められています。そしてその源泉には、「人と職場との最適」を目指して格闘するヒューマニズムが息づいていなければなりません。
病院医師が担当する臨床医学と産業医が担当する産業医学とは、その目的も形態もまったく異なります。臨床医学は患者さんを相手にする「治療する医学」であり、産業医学は健康な人を相手にする「予防する医学」です。ですので、臨床医学の対象は「すでに病気の方」であり、産業医学の対象は病気ではない「未病の方」です。両者ともに成果を求められますが、臨床医学には「治癒・寛解」が求められ、産業医学には「安心・安全」が求められます。私は下記の言い方をよくします。
「臨床医学」が、人を「幸せにする」医学なら、
「産業医学」は、人を「不幸にしない」医学である。
「臨床医学」が、人に「喜びを与える」医学なら、
「産業医学」は、人に「安心を与える」医学である。
これは臨床医と産業医のそれぞれの心意気をうまく言い当てているのではないかと思っています。さらにイメージを膨らませていけば、臨床医学のイメージを「動」とすれば産業医学のイメージは「静」であり、前者を「攻」とすれば後者は「守」、前者が「急」なら後者は「緩」という感じ。同様に、前者がつらい冬から抜け出した「春」だとしたら、後者は冬への備えをしながらも紅葉を堪能する「秋」かもしれませんし、「父親」なら「母親」、かもしれません(笑)。
下に産業医と臨床医との比較表を作ってみましたのでご参照ください。両者の視点の違いや行動準拠の基本姿勢の違いもおわかりいただけると思います。
産業医 | 臨床医 | |
---|---|---|
法律 | 医師法、安衛法 | 医師法、医療法 |
活動場所 | 事業所 | 地域社会 |
サービスの 対象 |
個人・集団・ 職場・会社 |
個人 |
業務の内容 | 労働衛生管理 (5 管理)・ 健康診断管理・ 健康情報管理・ 教育研修 |
診察・検査・治療 |
行動の特徴 | 予防的・集団的 | 治療的・個別的 |
相手から 要求される こと |
ケースマネジメ ント・コンプラ イアンス・相談 対応・メンタル ヘルス対策・医 療機関紹介 |
診断・治療・回復 健康の維持 |
結果の実感 | 間接的・集団的 | 直接的・個別的 |