産業医について ファームアンドブレイン有限会社

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産業医について

産業医には5Sが必要

これからの産業医能力として下記の「5S」が求められています!

産業医の5S
(ちなみに「職場の5S」とは、整理、整頓、清潔、清掃、躾 をいいます)

■1. Science 科学する

Science 科学する 産業医には職場を「科学する(科学的に考える)」視点と能力が必要です。職場に存在する傷病リスクを拾い上げ、どのリスクが、どのように、現在の職場問題や労働者の健康問題に関連しているのかを検証できる力が必要です。現場を観察し、そして分析、評価、判断をして、解決のための最適解にたどり着かなければなりません。さてこのとき、産業医学には「科学する」際の公式があります。それは、作業環境管理、作業管理、健康管理、の3つのステップを通して管理手法を確立していく方法です。職場に漂う原因物質の同定(作業環境に問題)、不適切な労働態様のために労働者に負荷がある(作業に問題)、実際に異常値が存在し生体影響が観察される(健康に問題)、という「曝露-反応」系を基本モデルとする健康管理の方法です。
 これら3つのステップは「労働衛生の3管理」とも言われ、各カテゴリーごとに知見に基づいた改善策と予防体制を決定していきます。ここに、その後の管理体制の維持、および健康の保持増進を目的にして、労働衛生教育、総括管理、の2つが職場に展開されます。これを加えると「労働衛生の5管理」と称されます。

■2. Structure 組織する

Structure 組織する 実際的で精度の高い「労働衛生の5管理」を行うことは、それはそのまま職場の安全と労働者の健康を担保することにつながります。その意味で労働衛生や産業保健にかかわる担当者はこの5管理を理解してしっかりと運用していく必要があります。5管理を適切に運用するためには、実行するための、「人」、「組織」、「お金」の整備が必要です。まさにStructure である体制と組織の整備こそが、職場の安全と労働者の健康を守る生命線であり、ここに事業者の決意の強さや職場の文化も現れます。
 我が国は労働安全衛生法(以下、安衛法)において、事業者の業種と労働者規模に応じて、事業者ごとに整備すべき労働安全衛生管理体制が細かに取り決められています。事業者は法律で指定された専門スタッフ(産業医、衛生管理者、安全管理者等)を配置し、彼らに権限を与えて活動させ(法的にも権限付与されている)、安全衛生委員会(衛生委員会)を定期的に開催し、組織だって事業所全体における安全と健康の文化の推進を取り進めなければなりません。

■3. Strategy 戦略する

Strategy 戦略する 安衛法は、事業者に対して一律に取り決めた労働安全衛生体制の整備と法令運用を要求していますが、これは事業者が最低限のインフラとして整備すべき安全衛生施策であるとも言えます。ご存じのように産業現場は、法令記載の施策を運用していれば労働者の安全と健康が確保できるという生やさしいところではありません。法令法律をしっかり守っていても、事故は発生しますし、傷病者も出てしまいます。逆に言えば、法律をどれほど守っていても、労働者の安全と健康は守りきれないという現実があるのです。
 したがって、労働者の安全と健康を真剣に確保しようと思えば、事業者は法律を脇に置きながらも法律にとらわれず、独自の安全健康システムを開発する必要が出てきます。事業所がかかえる独自リスクを踏まえながら、かつ具体的な対策を提案していくプロセスはコンサルティング作業とも言えますが、まさに現場のニーズに合致した諸施策を提案できる企画力こそ産業医に期待される能力です。医師であるからこそ、「人間と労働との適応を最大化」できなければなりません。
  産業医は業務上の健康リスクを知悉しています、安全管理者は安全リスクを、衛生管理者は衛生リスクを、それぞれ理解しています。産業医は医学の専門家としてこれらの専門家を集約し、労働者に一切の犠牲が発生しないための戦略を提案できる能力を持たなければならないので
す。

■4. Skill 管理する

Skill 推進する 組織運営の施策となるStrategy(戦略)が合意されたら、次には戦略を展開するための現場レベルでの議論を進めなければなりません。
 Strategy の趣旨と方向性、達成期間等をしっかり理解して、職場単位ごとに行動計画を作成するのです。その際のポイントは、ゴールとなる目標地点から「逆算」をして現実とのギャップを客観的に認識し、徐々にそのギャップを埋めるための戦術を具体的に、かつ実行可能な行動目標として分節して設定していくのです。誰が、いつ、何を、誰と、どのように、いつまでに、等を取り決め、これらを定期的に検証していく行程管理が全員の共有指標です。思わぬ事態の発生もあり、計画通り行かなければその都度みんなでまた話し合いましょう。行動目標と活動期間が明確で、「何のためにこれに取り組むのか!」の社員たちの目的意識さえあれば結果は必ず着いてきます。
  しかし現実には、進捗全体を管理するにはノウハウが必要ですし、従事する「人」への配慮こそ要諦とも言えます。ここには、計画表(マトリックス)をどのように進展させるかといったマネジメント力、現場と運営本体との連携を強めるコミュニケーション力、そして進捗全体をバランスさせ組織を常にエンカレッジすることができるリーダーシップ力など、活動のなかに、無理がなく、また無駄もなく、かつ円滑な運営となる能力が必要です。

■5. Support 支援する

Support 支援する 産業医の任務は、快適な職場環境の実現と労働条件の改善であり、労働者が健康的な労働生活を過ごすことができるように専門的立場から指導・助言を行うことです。これらを実現する医師であるという意味において、産業医は、産業医学の専門家であると同時に、産業医学の実践者でなければなりません。
  産業保健の理念や労働衛生の知識に精通して、現実に労働者の健康障害を予防し心身の健康を保持増進するための方策を事業者に提案し実行へと誘導していく能力が求められますし、労働者に対しても災害防止意識の向上と健康増進のための自己管理を徹底させる教導能力も求められます。実際には、健康診断等を通して労働者への健康支援を行い、一方で管理職教育や人事プログラムへのアドバイスを通して事業者を支援するという両面の作業を担当することになります。

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